■概要
平安時代に天台宗の寺として創建され、後に禅宗に転換されたが、戦国時代に兵火によって焼失した。江戸時代に入って、伊達政宗が自身の学問の師である虎哉(こさい)和尚のすすめによって再建が行われ、伊達家の菩提寺となった。江戸時代に大御所・徳川家康から全国の大名によって発せられた一国一城令によって、各国の城はそれぞれ一つに制限され、伊達政宗が治める仙台藩についても基本的に城は仙台城の一城のみとなっていたが、実はこの瑞巌寺も寺としての機能を想定して作られていたといわれ、伊達政宗の「隠し砦」とも呼ばれる。
■見どころ
松島は東北の一大観光地であるが、車で来てみると松島海岸は山々に囲まれており、天然の要害になっている。特に南方方面から来るには長老坂と呼ばれる山道を通らねばならない。また、瑞巌寺自体も松島の中では斜面の上に位置しており、そういった意味でも防御に適しているといえる。
まず、本殿では「上段の間」をはじめとして、200面以上の障壁画が展示されていて、そのどれもが派手な画で伊達らしさを感じることができる。しかも修復は行われているものの360年以上の昔から残っている障壁画群であり存分に歴史に思いを馳せられたい。天皇陛下が来られた際にご寝所とされた「上々段の間」というものもあり、確かに上段の間より高くなってはいるが、個人的には上段の間より少し窮屈に感じた(気のせい?)。
本殿庭には伊達政宗お手植えといわれる「臥龍松」がある。確かに臥せている竜のような形をしている。
上段の間については、立ち入ることができないが、200名以上の武士の入れる「武者隠し」と、瑞巌寺の山の裏まで通じている隠し通路もあるそう。
裏側の縁は「ウグイス廊下」となっていてキュッキュッと音が鳴る。これによって敵の侵入がすぐにわかる仕組みとなっている。
しかも、大規模な庫裡(寺の台所)は櫓の機能を持っていたといわれ、寺の両サイドは巨岩によって守られていて容易に攻めることはできないと想定される。
このように瑞巌寺は松島の海側にある五大堂とも連携して、大きな城の様相をなしていたと思われる。大河ドラマ「独眼竜政宗」では、江戸幕府に謀反の嫌疑をかけられた伊達政宗が幕府との合戦を想定するシーンがあり、それによると松島を最後の籠城戦の場とし、滅亡の折は「瑞巌寺を切腹の場とする」と宣言している。
戦国ファン、特に伊達ファンの方は、単なる観光地としての松島ではなく、伊達政宗が築いた天然の要塞であり、伊達家の詰めの城として散策してみるのも面白いかもしれない。
・仙台城
言うまでもなく戦国大名・伊達政宗が本拠地とした城である。
■事前学習推奨コンテンツ
・NHK大河ドラマ「独眼竜政宗」(主演:渡辺謙)
いわずとしれた大河ドラマの視聴率歴代トップ(42%)の化け物ドラマです。
奥州の暴れん坊・伊達政宗の波乱万丈の人生を一通り見ることができます。
47話に政宗が幕府より「瑞巌寺は一国一城令に反して城では無いか?」と嫌疑をかけられるシーンや、幕府との合戦を想定して滅亡の際には「瑞巌寺を切腹の場とする」と宣言するシーン、48話の冒頭に瑞巌寺を城と見立てて解説するコーナーがあり、瑞巌寺訪問前の必見コンテンツ。
■施設データ
- 施設名 臨済宗妙心寺派青龍山 瑞巌寺
- 訪問日 2017年8月20日(日)
- 住所 宮城県松島町松島字町内91番地
- 電話番号 022-354-2023
- 公式HP 瑞巌寺公式HP
- 入場料 有料
- 駐車場 有料(近隣P)
- 注意点 特に無し
~歴史スポットとして~
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