概要
室町時代初期に、大友氏の一族である木付氏が建てたお城です。お城の名前は、「杵築」城で、読み方は違いますが、漢字が異なります。もともとは、お城の名前も木付城だったのですが、江戸時代に幕府が武士の領地を確定させるために発行した朱印状に、「木付」ではなく「杵築」と書かれていたため、以降「杵築」が定着したようです。
杵築城は、南北が川、東側が湾に面しており、「台山」と呼ばれる台地の上に築城された天然の要害です。戦国時代に、島津家久が豊後に侵攻した際も、島津の猛攻をなんと2か月間も防いだことから別名「勝山城」とも言われています。
戦国時代が終わり、豊臣秀吉の天下においても木付氏は大友家の家臣として杵築城を守っていましたが、大友義統が朝鮮出兵での失態の責任を取らされて改易されると、当時の木付氏当主・統直は自刃して果て、木付氏は滅亡します。
その後、杵築は豊臣家の直轄領(蔵入地)となりますが、慶長5年(1600年)2月には、丹後国の細川忠興の所領(飛び地)となります。
慶長20年(1615年)に一国一城令が発せられると台山の主郭部は破却されて、お城の機能は山麓の藩主御殿に移されて、杵築城はその役目を終えます。
見どころ
残念ながら復元ではなく模擬天守ですが、杵築の台山の上にそそり立つお城はとても風格があります。
また、杵築城の一番の見どころは「城下町」です。杵築城の城下町は、両サイドの山のうえの武家屋敷町と谷の商人町を急斜面の坂でつないだ「サンドイッチ型城下町」です。
日本ではなかなか他で見ることのできない不思議な街並みで、一見の価値ありです!
写真&散策記
3か月前に大分に転勤してきましたが、転勤後初めてのお城めぐりとなります。
日本百名城の岡城や府内城、続日本百名城の臼杵城は、前に大阪にいたときに旅行や出張で来てしまっていたので、信長の野望にも出てくる杵築城を落とすことにしました。
(杵築城と臼杵城が紛らわしいと感じている野望ファンはとても多いと思います)
杵築市といえば、通称「世界の果て」と呼ばれる大分県の中でも、県庁所在地・大分市からも車で1時間という辺境の地ですが、新築マンションの家賃がなんと1万円台、東京まで片道5千円のLCCが出ている大分空港から車でわずか15分ということで、テレワーク全盛のコロナ禍においてにわかに脚光を浴びています。
それでは駐車場に車を停めて散策スタート!
階段を上るといきなり遊具が・・・
駐車場も含めてこのあたりは二ノ丸にあたります。
本丸に向かって登っていきます。
なだらかな坂道です。
道の傍らに忠魂碑があります。
忠魂碑は全国のお城にありますが、明治維新以降の戦争(日清戦争、日露戦争など)で戦死した地元の兵士を祀る碑だそうです。死んだ兵士が天皇への忠節を誓うという意味で、「忠魂碑」だそうです。
(はじめて知りました)
門をくぐって本丸へ。
本丸内にはこのあたりで出土した様々な時代の石造品が置いてあります。
一瞬墓地みたいでドキっとしました。
模擬天守のお城にありがちなそそられる廃墟をみつけました。
休憩処だったようです。
いよいよ天守閣へ。
本丸からの守江湾の景色です。
遅ればせながら城内の案内図がありました。
天守閣です。
少し小ぶりですが端正な模擬天守です。
天守閣の脇に城址碑がありますが、漢字は「木付」の方になっています。
天守閣の最上階から杵築の城下町が見えます。
アップしてみると、崖の上に武家屋敷群が見えます。
あまり他では見れない景色かと思います。
写真で見えるのが南台で、南台の向こうに谷を挟んで北台があります。
本丸門を出て城下町に向かいます。
杵築城と城下町との間に、歴代藩主などを祀った青筵神社があります。
城下町に来ました。
先ほども述べた通り、杵築城の城下町は、北台と南台という台地の上に武家屋敷が並び、北台と南台の間の谷に商人屋敷が並ぶという世にも珍しい「サンドイッチ型城下町」です。
やはり守りの固い台地の上は武家屋敷で占められており、外から攻められたら真っ先にやられそうな谷の部分は商人町で占められているところにヒエラルキーを感じます。
このあたりは昔ながらの景観が保存されており、和装をレンタルして散策することもできるので、SNS映えを狙う女性にはオススメです!(といっても回るところがそんなにありませんが)
まずは最も有名な酢屋の坂です。
坂の上が北台になります。
北台から酢屋の坂を見下ろしたところ。
かなりの急こう配であることがお分かりかと思います。
こちらが商人町から南台に上る「志保屋(塩屋)の坂」。
南台より塩屋の坂を見下ろした様子。
商人町のある谷を挟んでサンドイッチ型になっているのがお分かりかと思います。
最後に、北台と杵築城を結ぶ「勘定場の坂」です。
坂の途中に税関係の役所があったことからこの名前が名づけられています。
以上で大分転勤初のお城散策終了です!
国東半島をぐるっとドライブして帰りました。
公式パンフレット
城データ
- 城名 杵築城(木付城、勝山城、臥牛城)
- 種別 平山城
- 登城日 2020年11月14日(土)
- 住所 大分県杵築市杵築16-1
- 電話番号 0978-62-4532
- 公式HP 杵築市観光協会HP
- 入場料 有料(一般・個人400円)
- 駐車場 無料
- 所要時間の目安 40分程度
- 混雑度 小
- 注意点 特になし
※管理人が登城時の情報です。登城の際は必ず公式HPで最新情報をチェックして下さい。
管理人の勝手な評価
~城として~
- 難攻不落度 ★★★★☆(海と川と台地に守られた天然の要害)
- 歴史に浸れる度 ★★☆☆☆(もう少し頑張って頂きたい)
- 他では見れない度 ★★★★☆(サンドイッチ型城下町が異色です)
- 総合評価 ★★★☆☆
~行楽地として~
- アクセス性 ★★☆☆☆(世界の果て・大分の中でも不便な部類です)
- 登城のしやすさ度 ★★★★☆(なだらかな平山城です)
- 分かりやすさ度 ★★☆☆☆(もう少し戦国時代の解説が欲しい)
- 景観度 ★★★☆☆(天守閣最上階からの景色は素晴らしい)
- 女性と行ける度 ★★★☆☆(着物で回れる城下町を中心にどうぞ)
- 総合評価 ★★★☆☆
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