■仙台城について
奥州の覇者・伊達政宗が仙台の町を開くにあたって、「攻めるに易く、守るに難い」をコンセプトに築いた城。仙台市街地から西側に位置する青葉山の地形を利用して築かれた。
当時の諸大名の中でも最大級の平山城で、東側には広瀬川、西側には御裏林、南側は竜の口渓谷といわれる断崖絶壁に囲まれた難攻不落の要塞である。スペインの探検家ビスカイノが仙台城を見て「日本の最も勝れ、又最も堅固なる城の一つ」と言ったといわれる。
築城着手は関ヶ原の戦い後の1601年で、太平の世に移りつつある世の中で、100万人の人足を掛けた仙台城の築城に、時の将軍徳川家康が良い顔をしなかったのは想像に難くない。
伊達政宗と徳川家康の築城を巡る攻防でこのようなエピソードがある。
当時築城には将軍である家康の許可が必要であり、各大名は築城を申請する場合、第一希望から第三希望まで候補地を書いて申請する決まりとなっていたが、家康は各大名からの申請について許可の回答をする場合も必ず第三希望の候補地での築城を指示したといわれる。なぜなら、第三希望であれば、それほど堅固な城とはならないだろうという計算だったと思われる。
そこで、政宗は仙台城の築城にあたり、最適な場所を現在の仙台市街地の中心部に位置する「榴ヶ岡(つつじがおか)」と決めていたが、家康の裏をかくつもりで、あえて第三希望に本命の榴ヶ岡を書き、第一希望には当て馬の青葉山を書いた。ところが、家康は政宗のさらに裏をかいて、青葉山に築城の許可を出した。
この一事をもってしても、「遅く生まれた戦国大名」と言われた東北の暴れん坊・政宗に家康が相当の警戒をしていたことが伺える。
<三の丸に展示されている政宗胸像>
伊達政宗の歴史に残る最大の功績は、仙台の町を作り、貧しかった当時の東北地方としては類を見ない巨大都市にまで発展させた事であるが、仙台城はその中心地として機能した政治の中心地でもある。
ちなみに「せんだい」は、「千体」「千台」を経て、伊達政宗が、より厳かな「仙台」という漢字に改めたと伝えられている。
■見どころ
他で見ることのできない巨大な平山城であり、仙台市街地の周囲に睨みをきかせるようにそびえたっている、現代においても仙台市民のシンボル的な存在である。
天下を平定した徳川家も、常に虎視眈々と天下を狙う政宗には相当の警戒をしていたと思われるが、ついに攻め滅ぼさなかったのは、この仙台城があったからかもしれない。そう思えるほど、巨大で堅固な城である。
車で行くなら、昔の三の丸で、現在は仙台市博物館の駐車場が無料なので、そこに車を停めて、坂を上って本丸に上ることをおすすめする。本丸付近にも駐車場はあるが、有料だし、三の丸から登ってくる道で野面積みの古い石垣跡もみることができる。
さらに坂を上ると、本丸北壁石垣が見えてくる。
本丸北壁石垣は、江戸時代の工期に積まれたものであり、「切石」と呼ばれる加工が施されたきれいな長方形の石垣である。あまりにきれいな加工なので、ぱっと見た感じコンクリート加工に見えてしまうのが玉にきず。
本丸には、当時の大広間跡が広がっているが、居館などの建造物は残っていない。
(元々、天守閣のあった城ではない)
(仙台市HPより)
大広間跡の近くに、伊達政宗の銅像も建てられている。
仙台市民と思しき人も多数写真を撮っており、伊達政宗の仙台において尊敬を受ける人であることを感じる。(下の写真は妻が頑張って人が写りこまないように撮った写真です。念のため・・・)
仙台の町が少し特異(?)であると感じるのは、商店やバス停、道路工事中の看板にまで政宗の家紋やキャラクターが入っているなど、仙台市民は本当に政宗を愛しており、現代においても仙台のシンボル的存在であることを感じる点である。江戸の開祖である家康が東京都民に尊敬されていたり、大阪の開祖である秀吉が大阪府民から熱狂を受けることがないのに対し、政宗の仙台での愛されっぷりは群を抜いている。地方都市であることも起因しているかもしれないが、少なくとも転勤・出張族の管理人も他の都市でこのような現象を見たことが無い。
本丸跡は他にも酉門、巽門跡など、青葉山のふもとにも片倉小十郎屋敷跡や大手門跡などの遺構が多数ある。時間があればぜひ回っておきたい。
■事前学習推奨コンテンツ
・NHK大河ドラマ「独眼竜政宗」(主演:渡辺謙)
いわずとしれた大河ドラマの視聴率歴代トップ(42%)の化け物ドラマです。
奥州の暴れん坊・伊達政宗の波乱万丈の人生を一通り見ることができます。
「伊達者」を演じるには、渡辺謙がやや男前すぎて、どちらかというとアクが少ないファミリードラマ仕立てです。
<本丸会館に展示されている大河ドラマ「独眼竜政宗」の政宗甲冑>
■おまけ:仙台城グルメなど
仙台城本丸跡の本丸会館では、仙台ご当地グルメを一通り味わうことができるので、県外の方はお腹を空かせて行くのもおススメ。
・伊達の牛たんレストランの牛タン定食
がっつり牛タンとご飯を食べるならこちらで(予算~2000円)
・串焼き処「虎哉」の牛タン串焼き
牛タンだけを食べるならこちらで(予算~1000円)
ちなみに虎哉(こさい)とは、伊達政宗の幼少期の指南役であった和尚の名前
・軽食喫茶「愛姫」の牛タン饅頭
一口で良いので牛タンを食べるならこちらで(予算~500円)
・甘味喫茶「萩」のずんだ餅
食後は仙台名物のずんだ餅(枝豆を炒って作った甘味)をどうぞ(予算~500円)
・多賀城(No.7)
仙台城から車で一時間程度。戦国時代にはあまり関係が無い地味な城で、見落としがちであるが、確実に落としておきたい(ちなみに意外と楽しい)。24時間開放されているので、明るい時間であればいつでも見れます。
■城データ
- 登城日 2017年8月20日(日)
- 住所 仙台市青葉区川内26(仙台市博物館)
- 電話番号 022-225-3074(仙台市博物館)
- 公式HP 仙台市公式HP
- 入場料 無料
- 駐車場 無料 ※仙台市博物館(三の丸跡)
- 所要時間の目安 120分程度
- 混雑度 大
- 注意点 特に無し
~城として~
- 難攻不落度 ★★★★☆(奥州王・政宗が築いた巨大な要塞です)
- 歴史に浸れる度 ★★☆☆☆(城自体に歴史を感じるのは難しいかも)
- 他では見れない度 ★★☆☆☆(作り自体はまあ普通です)
- 総合評価 ★★☆☆☆
- アクセス性 ★★★★☆(仙台市街地からほど近いです)
- 登城のしやすさ度 ★★★★☆(やや急坂ですが大したことないです)
- 分かりやすさ度 ★★★★★(解説の類はふんだんにあります)
- 景観度 ★★★★☆(仙台市街地を一望)
- 女性と行ける度 ★★★★★(全く問題ないでしょう)
- 総合評価 ★★★★☆
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