武田氏館(躑躅ヶ崎館)~戦国最強・信玄の本拠地

スタンプ

■概要

言わずと知れた戦国時代最強大名・武田氏の中心拠点となった城(館)跡であり、通称「躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)」と呼ばれる。

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(甲府市HPより)

このブログのタイトルにもなっている武田信玄の名言「人は城 人は堀 人は石垣」の通り、信玄は自身の居城として城らしい城を築かなかった。確かにこの館についても、周囲をぐるっと堀に囲まれ、甲州特有の丸馬出が二つあるなど一応の防衛設備は整っているが、この館だけでは敵襲を受ければひとたまりも無いだろう。

武田家は板垣・甘利・飯富・馬場など有能な家臣に恵まれたため城を築かないポリシーだったとも言われるが、実際はこの躑躅ヶ崎館の北方には標高770mの要害山に要害山城を築き、南方には現在の甲府駅付近に一条小山城(後の甲府城)を築いて南北方面の備えとしている。信玄もおそらく有事の際は、要害山上に立てこもって籠城するつもりであったとだろうから、必ずしも家臣を信用していたからだけとは言えないかもしれない。(ちなみに、躑躅ヶ崎館・要害山城・一条小山城を築いたのは、信玄が追放した父・信虎である)

<武田神社のチケットに描かれる武田二十四将>
チケット

武田ファンの管理人としては少し悲しかったのが、甲府市といえばあちこちで武田家にあやかったものがあり、町を挙げて武田を盛り上げているのかと想像していたのだが、山梨市民からは全くそのような雰囲気は感じられず、武田神社の参道の道路ポールに武田菱が彫られている場所が少しあるぐらいだったことである。やはり最終的には敗戦・滅亡した家の悲しさだろうか。仙台城での伊達フィーバを目の当たりにした直後であることもあり、少しセンチな気分になった。(上田市における真田の扱いの方がはるかに上である)

100名城選定においても一般からの推薦は非常に少なかったようだが、選定委員の推薦でなんとか残したようである。

■見どころ

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現在は武田神社となっている。
躑躅ヶ崎館としての遺構はそれほど多く残されていないが、曲輪を取り囲む土塁や石垣はある程度残されている。

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<水堀>
躑躅ヶ崎館

東大手門を出たところに、大手門東遺構公園が整備されており大手口の発掘により見つかった石塁・土塁の復元や厩跡などを見ることができる。武田家特有の防衛設備である「丸馬出」の一部である三日月堀も発掘されているが、残念ながら保存のため埋め戻されている。

<大手門東遺構公園の三日月堀跡>
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(甲府市HPより)

西曲輪の北側には、桝形虎口・丸馬出を見ることができるが、あまり整備状態はよろしくない。

神社の入り口は館の大手門とは異なり南側となっているので、参拝だけで済ませて帰ってしまうとこれらの遺構を見落としてしまうので注意したい。

境内の中には武田信玄にまつわる資料が展示されている宝物館があるため、こちらは是非訪問して頂きたい。有名な「疾如風徐如林侵掠如火不動如山」が書かれた孫氏の旗や信玄公の軍扇、甲州金など数多くの貴重な品々が展示されているので武田ファンの方は是非鑑賞して頂きたい。

<宝物館公式パンフレット>
パンフ表

パンフ裏

境内は大正の時代によって建てられた神社になっていて、ご祭神は言うまでもなく武田信玄である。

<鳥居の向こうに見えるのが拝殿>
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<拝殿>
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後世に作られたものだと思われるが、立派な能楽堂「甲陽武能堂」がある。
「甲陽」は甲斐武田氏の軍学書「甲陽軍艦」から引用されている。

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神社ではいかめしい武田信玄の姿が入った特製の御朱印を受けることができる。
武田ファンの方はぜひ。

御朱印

一点だけ注意点は、武田神社の前には甲冑を着て写真撮影をしてくれる店が出ているが、十分注意されたい。500円で甲冑を着て写真を撮ってくれるかのように勧誘してくるが、実際は陣羽織・兜・軍扇・刀のセットでの写真撮影であり、以下の写真を見ていただき、これに500円払う価値があるかどうかはよくよく見極めていただきたい。甲冑を着て撮るには1500円?ぐらいかかるそうなので、注意されたい。(決してぼ〇たくりと言っているわけではありません・・・悪しからず)
ちなみに、松代城の真田宝物館では無料で甲冑を着た写真を撮ることができる。

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(不覚にも管理人は申し込んでしまいました。。後悔の念)

■事前学習コンテンツ
  
・NHK大河ドラマ「武田信玄」(主演:中井貴一)
管理人が最もおススメする歴史コンテンツの一つである。武田信玄の初陣(海ノ口攻め)から西上作戦途上における死までの怒涛の障害を描いている。現代の大河ドラマでは考えられないエキストラや馬の数であり、大迫力である(真田丸や井伊直虎と比べていただきたい)。また、役者は脇役に至るまで他のドラマでは主役クラスの俳優ぞろいであり、超豪華である。騙されたと思って、1話だけでもご覧頂きたい。


■あわせて巡りたい

恵林寺
武田家の菩提寺であり、信玄公の墓所がある。こちらにも宝物館あり。

信玄堤
甲斐はそれまで、度重なる洪水に見舞われて疲弊していたが信玄が独自の工夫で築いた治水施設により洪水による被害が激減。現代にも伝わっている。

川浦温泉 山県館
信玄が恵林寺に命じて掘らせた秘湯。武田二十四将の一人である山県三郎兵衛昌景の末裔が経営されている。

・要害山城
躑躅ヶ崎館が北に背負う標高770mの山に築かれた山城。信玄生誕の地でもある。

一条小山城(甲府城)
躑躅ヶ崎館の南方の小山に築かれた城で南方面の備え。

新府城
信玄の後継者である勝頼が信濃との境である韮崎に築いた山城。
残念ながら未完に終わったが、真田昌幸の築城技術の粋を見ることができる。

■100名城スタンプラリーの方は


甲府城(No.25)
武田信虎が築いた一条小山城の跡に築かれた平山城。
武田氏館より南に3kmとほど近い場所である。

■おすすめグルメ

甲州ほうとう小作
甲斐の郷土食ですが、武田信玄が陣中食として奨励したといわれるのが「ほうとう」。
アツアツの土鍋に季節のやさいをふんだんに入れた煮込みうどんで体が芯から温まる。
寒い季節であれば特におススメだが、夏でも十分いける。

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・桔梗信玄餅(神社向かいのお土産屋さんとかで購入可能)
信玄が出陣の際に非常食として砂糖入りの餅を常備したことに由来して作られた餅菓子。
実際は信玄とは無関係だという説もあるようだが、信玄餅自体はとてもおいしいので是非ご賞味いただきたい。非常食だったことに関係あるのか不明だが、店員曰く「真夏の車内に数日間放置しても平気」だそうなので驚き。6個入りで900円ぐらい。

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■城データ

  • 施設名       武田氏館(躑躅ヶ崎館)<日本百名城No.24>
  • 登城日       2017年8月23 日(水)
  • 住所        山梨県甲府市古府中町2611
  • 電話番号      055-252-2609
  • 公式HP      甲斐武田神社公式HP
  • 入場料       無料
  • 駐車場       無料
  • 所要時間の目安   120分程度
  • 混雑度       中
  • 注意点       神社前のカメラマンにご注意を!!
  ※管理人が登城時の情報です。登城の際は必ず公式HPで最新情報をチェックして下さい。

■管理人の勝手な評価

~城として~
  • 難攻不落度     ★☆☆☆☆(大軍で攻め寄せられたら一たまりも無いでしょう)
  • 歴史に浸れる度   ★★★★☆(武田家支配の中心拠点です)
  • 他では見れない度  ★★☆☆☆(普通の神社です)
  • 総合評価      ★★☆☆☆
~行楽地として~ 
  • アクセス性     ★★☆☆☆(駅・インターから微妙に離れており不便)
  • 登城のしやすさ度  ★★★★★(広さもそれほどなく平坦)
  • 分かりやすさ度   ★☆☆☆☆(館としての解説は非常に少ない)
  • 景観度       ★☆☆☆☆(景色はほとんど見えません)
  • 女性と行ける度   ★★★☆☆(神社としてなら何とか・・・・)
  • 総合評価      ★★☆☆☆
宝物館で500円で購入した本だが、武田氏の歴史や家臣団、兵法などについて簡潔にまとめられている。写真屋やイラスト豊富で分かりやすいのでおススメ。
本

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