■概要
関ヶ原の戦い後に、徳川四天王で赤備えの猛将・井伊直政が近江北部を与えられ築城した城。
西の関ヶ原方面に伸びる中山道と、北陸方面に伸びる北国街道が交わる要衝に建てられている。
近江北部は元々、石田三成の所領であり、三成が本拠としていた佐和山城は名将・島左近と並んで「三成に過ぎたるもの」と言われる名城であり、直政も当初佐和山城に入城したが、やはり三成の旧城であることを嫌って自身の城を普請することとした。築城は7か国12大名に工事を分担させるいわゆる「天下普請」であり、12年の歳月をかけて完成させた。
彦根城が特異なのは周辺の様々な城から建物を移築させたいわば「寄せ集めの城」というところであり、天守閣については大津城、多聞櫓は佐和山城、そのほか小谷城や観音寺城からも建築物を移築させて完成させたという非常に地球にやさしい城である。
■見どころ
天主閣とひこにゃんを目的に来られている方が大半ですが、戦国ファンがこの城を見るべきポイントは「防御性」です。
この城を攻める場合、表御門から攻めると、鐘の丸と天秤櫓の間の大堀切を通る間に四方八方の櫓から射撃を受けて、天秤櫓にたどり着く頃には大半の兵を失うことになるでしょう。背後の鐘の丸の制圧も必要です。
その後、天秤櫓を打ち破って太鼓丸を通過し、続櫓に向かう間も周囲の石垣の上に張り巡らされた櫓から集中砲火を浴び続けなければなりません。
そして、続櫓を通過してやっと天守閣にたどり着くことができますが、天守閣も鉄砲狭間、矢狭間完備のため容易に落とすことはできないでしょう。
逆に黒御門(裏門)から攻める場合も、張り巡らされた高石垣と虎口に阻まれてこちらも容易にたどり着くことは困難です。
このように琵琶湖畔にの平地に作られた城ながら、関西と北陸・東海との交差点にあたる要衝に作られた防御のための城であり、江戸時代に作られた政治重視の平城とは少し様相が異なる。ぜひ、内部オール木造の現存天守とあわせて散策し、戦国の歴史に思いを馳せて頂きたい。
個人的には、石落としと櫓に狭間を付ければ防御性は完璧になるのではと思った。
■管理人の散策記
駐車場は二の丸駐車場と桜場駐車場の2か所あり、いずれも有料。
桜場駐車場から表門まで歩いていき、そこから散策スタート。
表御門付近にこんな立て看板が。
ひこにゃんとの対面を楽しみにしていた管理人妻はいきなり出鼻をくじかれることに・・・
券売所で入場券を買って、城内へGO!
ちなみに、交通系ICカード(ICOCAなど)が使え、しかも1割引きで入場できます。
一つ注意点としては、スタンプ設置場所は表御門の外の開国記念館(17時閉館)にしかないので、午後の訪問の方は登城前にスタンプを押して行かれた方が無難です。
登城路を登っていくと高石垣の上に見上げる天秤櫓が見えます。
大堀切から見上げる天秤櫓。
攻め手はここを通過するだけでも、相当な射撃を受けそうです。
鐘の丸の方へ折れて登っていきます。
振り返るとこんな感じ。
通過する攻め手を四方八方から射撃できます。
鐘の丸から眺める天秤櫓。
攻め手は天秤櫓に到着するまでかなりの被害が予想されます。
それにしても、天秤櫓にはなぜ矢狭間や鉄砲狭間が無いのか?
大堀切を通過する敵を攻撃するには少し窓が少ない気がしなくもないです。
本丸入り口となっている続櫓。
ここも堅固な作りですが、狭間が少ないのでは?
ちなみにこの日は彦根城天守は60分待ちとのことなので、ここで列の最後尾に並びます。
40分ほど待ってやっと内部へ。
天守閣内部でも上階へは散々待たされます。
本丸内は矢狭間、鉄砲狭間完備です。
なぜか石落としが無い?(すでに時代遅れなのか?)
最上階から眺める琵琶湖。夕暮れ時もあいまってなかなかの絶景。
天守閣の内部はオール木造で、博物館化もされておらず当時のままです。
西の丸から井戸曲輪方面も虎口にがっちりガードされています。
西の丸虎口から見上げる天守。
本丸広場から見るときより、はるかに堅固な外観です。
井戸曲輪から黒御門(裏門)に下りていきます。
高石垣が張り巡らされていて、裏手も非常に攻めにくそうな外観です。
黒御門(裏門)付近にある「登り石垣」
西の丸と出曲輪の間は大堀切で分断されていますが、斜面を登り石垣でガードしています。
(イメージ的には万里の長城)
秀吉が朝鮮出兵の際に、朝鮮から輸入した築城技術とのこと。
黒御門から桜場駐車場へ戻ります。
- 施設名 国宝彦根城<日本百名城No.50>
- 登城日 2017年10月8日(土)
- 住所 滋賀県彦根市金亀町1−1
- 電話番号 0749-22-2742(管理事務所)
- 公式HP 国宝彦根城HP
- 入場料 有料
- 駐車場 有料
- 所要時間の目安 120分程度(混雑を加味せず)
- 混雑度 極大
- 注意点 休日は非常に混雑します。できれば平日の訪問を。
~城として~
コメント