高取城 ~日本最大の巨大山城にして大和郡山の「詰め」の城

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■概要

日本三大山城(備中松山城、美濃岩村城、高取城)のひとつで、麓からの高低差でいうと最大となる比高446mに築かれた郭内面積6000万平方メートル(※)という超・巨大な山城です。

※公式パンフ4ページ参照:高取町のパンフではほとんど山しかない部分も含んで計算しているので、実際の山城としてはもっと小さいですが・・・

元々はこのあたりの地方豪族だった越智一族が奈良と吉野を結ぶ交通の要衝である芋峠をおさえるために築いた支城でしたが、この時は城郭設備もなく、盛り土や堀、逆茂木などの防御設備を配置するのみで、高取山の自然の地形に多少の工作のみを加えた「かきあげ城」と呼ばれる状態でした。

その後、大和国の大名である筒井順慶が郡山城の詰めの城(他国から侵略された際に最後に立てこもる城)として改修を行い、その後筒井氏は伊賀に移封されますが、代わりに大和国に入封した羽柴秀長(秀吉の弟)も城主の本多利久に改修を継続させ、最終的に近世城郭として生まれ変わることとなります。

江戸時代以降は、譜代の植村氏が城主に任じられますが、同じ大和国には本城にあたる郡山城があるにも関わらず、一国一城令のなかでも破却されず、それどころか当時は城の修築には幕府への届け出が必要でしたが、なんと高取城の修復については届出不要という破格の待遇が与えられていました。

江戸時代には既に時代遅れとなっていた防御型の山城においては異例の処置と思えますが、それだけ畿内方面へのおさえの城として重視されていたということでしょうか。

それでも、残念ながら明治の廃城令においては破却を免れず、城郭については残らず処分されています。

■見どころ

廃城令により城郭の大半が破却されたものの、石垣はほぼ完全な状態で残っています。

ハイキングでしか行かないような、何も無さそうな山の中にこれだけ整然と巨大な石垣群が残っているところにロマンを感じます。

歴史作家の司馬遼太郎は高取城を訪れた際に、「はじめてアンコールワットを見たような衝撃」と表現したと言われていますが、歴史ファンでなくとも十分に満足できる遺跡だと思います。
(あまり知られていないのか、観光客が非常に少ないのも、存分に歴史に浸れて良いです)

高取城については城郭がありし日の写真が残っています。
もし城郭が残っていれば、素晴らしい歴史スポットになっていたかと思いますが、廃城令という愚かな施策が惜しまれてなりません。。

あと、少し残念な点で言えば、これだけ難攻不落と思われる城ですが、大きな合戦を経験していないところでしょうか?

<在りし日の高取城(公式パンフより)>
古写真

<公式パンフレット>
パンフ1

パンフ2

パンフ3

パンフ4

パンフ5

パンフ6

■写真&散策記

壺阪寺を通り過ぎて人気のない山道を3km程度車で走ったあたりに壺坂口門に通じる登城口(八幡口)が見えてきます。駐車場はありませんが、路肩に車を停めて散策スタート!

登城口あたりに簡易トイレと案内板があります。
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早速八幡口の石垣が見えてきます。
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そこそこ険しい山道を登っていきます。
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登ったあたりに壺坂口門が見えてきます。
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壺坂口門跡です。
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壺坂口門跡を見下ろしたところ。
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更に登っていきます。
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壺坂口中門跡に続いていきます。
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壺坂口中門跡です。
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大手門の石垣です。なかなかの高さです。
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本丸方面に向かいます。
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やっと大手門に到着です。
ここに来るまでに複数の虎口と門を抜けてこないといけないので、防御性は抜群かと思います。
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ここも防御性の高い虎口になっています。
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十三間多聞跡を通って二の丸方面へ。
ここもやはり厳重な虎口になっています。
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振り返ったところ。
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ここからは一気に景色が開けた二の丸です。
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奥に見える石垣は太鼓櫓・新櫓です。
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三大山城のアピールが。
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十五間多聞櫓をくぐって本丸方面へ。
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太鼓櫓跡です。
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本丸方面を見ると巨木の奥に天守台の高石垣が見えてきます。
写真で伝わりづらいのが残念ですが、かなり高いです。
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かなりの高さです。
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本丸方面に向かってかわいい熊と城のオブジェがあります。
これが木材の組み合わせでなく、一本の木を削って作っているというなかなか精巧なオブジェなのです。
誰が作ったのでしょうか?非常に気になります。
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家にひとつ欲しいです。
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本丸虎口を通って本丸へ。
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井戸跡!?
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当時の天守台の入り口でしょうか。
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天守台の入り口らしき箇所を城内から見たところ。
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本丸の案内板です。
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本丸広場です。
山城とは思えない広さです。
そして整備もある程度行き届いているところが嬉しいです。
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再び本丸を下りていきます。
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中から見た本丸虎口。
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再び大手門に戻り二の門方面へ向かいます。

こちらは千早門跡。
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宇陀門跡。
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かなり下っていきます。
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松の門跡です。二の門方面も複数の門と虎口で厳重にガードされています。
少し疲れたので、二の門までは諦め、ここで折り返して散策終了!
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■日本百名城・続日本百名城スタンプラリーの方は

大和郡山城(No.165)
高取城の本城にあたる城で、大和郡山市の中心街にあります。

■城データ

  • 城名        高取城(芙蓉城、鷹取城、高取山城)<日本百名城No.61>
  • 種別        山城
  • 登城日       2018年5月18日(金)
  • 住所        奈良県高取町高取
  • 電話番号      0744-52-1150(夢創館)
  • スタンプ設置場所  観光案内所「夢創館」(奈良県高市郡高取町上土佐20-2)
  • 公式HP      高取町公式HP
  • 入場料       無料
  • 駐車場       無料
  • 所要時間の目安   180分程度
  • 混雑度       小
  • 注意点       一応整備はされてますが、山歩きの服装で。
  ※管理人が登城時の情報です。登城の際は必ず公式HPで最新情報をチェックして下さい。

■管理人の勝手な評価

~城として~
  • 難攻不落度     ★★★★★(盤石の防御性の山城です)
  • 歴史に浸れる度   ★★★☆☆(合戦を経験していないのが残念)
  • 他では見れない度  ★★★★★(なかなか見られない景色かと)
  • 総合評価      ★★★★☆
~行楽地として~ 
  • アクセス性     ★★☆☆☆(不便です)
  • 登城のしやすさ度  ★★★☆☆(山城の中では登りやすい)
  • 分かりやすさ度   ★★★☆☆(ある程度解説などあります)
  • 景観度       ★★★☆☆(山頂からの景色はあまり開けてません)
  • 女性と行ける度   ★★★★☆(遺跡探訪問として楽しめます)
  • 総合評価      ★★★☆☆

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