■概要
「丹鶴城(たんかくじょう)」とも呼ばれますが、昔々このあたりは「田鶴原(たづはら)」と呼ばれる小高い丘で、鶴が飛来する場所だったといわれます。平安時代末期には、古くは熊野三山を統括する熊野別当の屋敷があったといわれています。
関ヶ原の戦いの後に紀州藩を与えられた浅野幸長が、家老の浅野忠吉に命じてこの「丹鶴山」に城を築かせますが、その後、江戸幕府による一国一城令により一旦廃城となります。
その後、再度築城が認められますが、浅野家は備後三原に転封となり、紀州藩は幕府直轄地となります。
紀州徳川家の付家老・水野氏は新宮城の築城を引き継ぎ、現代も残る近世城郭を完成させます。
■見どころ
紀伊半島は、ほとんど山地に覆われていることで古くから「熊野」と呼ばれる山岳信仰の地でしたが、この新宮の町は「熊野別当」と呼ばれる熊野三山(熊野本宮大社・熊野那智大社・熊野速玉大社)を統括するものが居住していた場所です。現代でも、大阪から新宮の地に行くには、山間部の下道を延々と車で走っていくのが最も速いルートになっていて、都会と隔絶された町となっています。(海岸沿いに高速道路が走っていますが、途中で途切れ途切れになっているのと、かなりの遠回りになります)
そういった場所であることから、戦国時代でも合戦という合戦がほとんど行われたことは無い特殊な場所で、こういった場所に近世城郭があることにロマンを感じて頂けると思います。
城自体はそれほど大きくありませんが、切込接で作られた重厚感のある本丸石垣は迫力がありますし、熊野川に面した水の手曲輪(港)についても一見の価値ありです。
新宮というと、一般的な観光客は熊野三山や熊野古道に行くので(特に新宮城のすぐ近くに熊野三山のひとつ熊野速玉大社があります)、新宮城公園はガラガラです。そういった意味でも、城で歴史に浸るという意味ではとてもおススメの城です。
■写真&散策記
まずは続日本百名城のスタンプを押しに「新宮市歴史民俗資料館」に向かいますが、ナビでも一向に辿りつけません。地図をよく見ると、資料館は阿須賀神社の敷地内にあるとのことなので、再度ナビを阿須賀神社に設定して向かいます。
駐車場の入り口です。奥に歴史民俗資料館の看板が小さくあります。
資料館の入り口でスタンプだけ押して新宮城に向かうつもりでしたが、なんと!スタンプは資料館の2Fにあるため入場料を払わないと押せないとのこと。神々の住む熊野を統括する町にしてはなんかセコいなあと思いつつ、入場料210円を支払って中へ。しかも、このとき受付のオジサンに「出身地は?」と聞かれ、「大阪」と答えると「決して宣伝ではない」と強調したうえで、「大阪から来られた方は『香梅堂 』のお菓子をぜひ買っていきなさい。買っていかないと家族に怒られますよ?老婆心ながら。」という謎の広報活動が。。
しかも後ろに並んでいたお客さんは他の出身地だったのですが、別のお店を薦められていました。
いったい何だったのでしょうか??
しかし、後で気づいたところ「香梅堂 」は食べログ「3.58」という高得点をたたき出すかなりの名店で、しかも名物は管理人妻の大好きな「カステラ」とのこと。買って帰らなかったことで、やはり家では「なんで買って帰らなかったの?」と激しく攻められました。ここの受付のオジサンは神通力があるのでしょうか??
気を取り直して新宮城に向かいます。
新宮城のある丹鶴城公園は資料館の方面から車で数分走ってくると右手に見えてきます。
新宮城説明板のところから入っていくと、急坂を越えて駐車場にたどり着きます。
駐車場にも打ち込み接の石垣がありますが、当時のものかどうかは不明。
江戸時代に新宮城を再築した水野家家臣の「川上不白」の顕彰碑です。
表千家の茶人だったそう。詳細は省略。
本丸へ到着!そんなに広さはありませんが、しっかりとした作りです。
奥に見えるのは与謝野晶子の旦那・鉄幹の歌碑だそうです。
新宮城に二度来たそうです。詳細は割愛。。
松ノ丸から出丸方面を望みますが、木が鬱蒼としすぎて無理です。
あきらめて大手を下っていきます。
小さい城ながらもなかなか立派な大手道。
現在は保育園となっている二ノ丸です。
スミは見事な算木積みとなっています。
なんでも「ビシャン」と呼ばれる石道具で真っすぐに整えるそうです。
水の手曲輪(港)が見えてきます。
当時は20棟もの建物があったそうです。
川に向かって石段が続いていて、なかなか見応えがあります。
熊野川の船着き場になっていたとのことです。
以上で散策終了!
なかなか見応えのあるお城でした。
人も少なくておススメです。
■おすすめグルメ
新宮といえば「めはり寿司」です。ソフトボール大のおにぎりを高菜の浅漬けでくるんだ郷土料理で、「目を見張るぐらいに口を開けて食べる」ことから「めはり寿司」と名付けられたそうです。
最近新装開店したらしく店内綺麗です。
料理は「2時間ぐらいかかる」と言われますが、実際は20分ぐらいで出てくるという謎対応。
おススメは「めはり定食」。これで1400円。めはり寿司がかなりボリューミーなので、お腹いっぱいになります。
■日本百名城・続日本百名城スタンプラリーの方は
- 城名 新宮城(丹鶴城)<続日本百名城No.167>
- 種別 平山城
- 登城日 2018年8月18日(土)
- 住所 和歌山県新宮市新宮7690
- 電話番号 0735-23-3368(新宮市文化財課)
- スタンプ設置場所 新宮市歴史民俗資料館(和歌山県新宮市阿須賀1-2-28)
- 公式HP 新宮市観光協会HP
- 入場料 無料
- 駐車場 無料
- 所要時間の目安 90分程度
- 混雑度 小
- 注意点 歴史民俗資料館(スタンプ)行きのナビ設定は「阿須賀神社」で!
~城として~
- 難攻不落度 ★★★☆☆(実戦経験なし)
- 歴史に浸れる度 ★★★★☆(戦国時代とは関連なしですが、人が少なくて良いです)
- 他では見れない度 ★★★☆☆(川港である水の手曲輪は一見の価値あり)
- 総合評価 ★★★☆☆
- アクセス性 ★☆☆☆☆(ある意味近畿地方の秘境です)
- 登城のしやすさ度 ★★★★☆(普通の公園イメージです)
- 分かりやすさ度 ★★★☆☆(歴史資料館でパンフ入手していきましょう)
- 景観度 ★★★★☆(本丸からの景色はなかなか)
- 女性と行ける度 ★★★☆☆(熊野古道めぐりのついでに・・・)
- 総合評価 ★★★☆☆
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