岡山城 ~西国の下克上・宇喜多氏による漆黒の城

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■概要

下克上といえば、東では京の油売りから美濃の戦国大名にのし上がった「斎藤道三」が有名ですが、西では、守護代浦上氏の一家臣でありながら、謀略によって主家である浦上氏を乗っ取り、その後も日本史上で初といわれる「鉄砲による暗殺」という近代的手法を使って隣国三村氏を滅ぼし、備前・美作・播磨の戦国大名にのし上がった宇喜多直家が有名です。

岡山城は、そんな直家が本拠に置いた城ですが、現在の岡山城は直家の子・秀家によって築城された城です。秀家は、幼い時から秀吉によって育てられ、のちに岡山城57万石、豊臣家五大老にまで出世しましたが、関ヶ原の戦いで石田三成率いる西軍に味方したことにより、八丈島に流罪となり、衰退することなります。

宇喜多家没落後は、豊臣恩顧の大名でありながら関ヶ原の戦いで東軍に寝返ったことで有名な小早川秀秋に与えられます。小早川秀秋が謎の若死にをとげて小早川家の断絶後は、隣の姫路を治めていた池田氏に与えられ、江戸時代を過ごすこととなります。

■見どころ

なんといっても「真っ黒」であることが目を引きます。
下見板に黒漆を使っていることが要因だそうで、日光に当たるとカラスが羽を広げたようにみえることから「烏城」(うじょう)ともいわれます。

ちなみに隣の兵庫県にある姫路城は、「真っ白」であることを売りにしていて、「白鷺城」といわれているのと対照的です。ちなみに、江戸時代には岡山城も姫路城主も池田氏になります。

城は岡山市街地の高台に設けられていますが、縄張りとしては弱く、特に東側が手薄であるため、旭川の流域を無理やりまげて東側を守る堀にしたと言われています。

直家の主家であった浦上氏は岡山城の東側に位置する天神山城という大規模で堅固な山城に本拠を置いていたのと対照的で、宇喜多氏は防御性能より岡山市内における商圏の発展を重視したと思われます。

直家の下克上に始まり、秀家の関ヶ原に散った儚い宇喜多氏の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

<公式パンフレット>
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■写真&散策記

公式駐車場から堀沿いに少し歩くとすぐに正門にあたる「内下馬橋」を渡れます。
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土橋風で良い感じです。
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大手門にある大石。
岡山城の石はほぼ瀬戸内海にある小さな離島の「犬島」から採れた石です。
犬島は採石で有名で、大阪城の石垣にも多く使われています。
余談ですが、犬島から最も本土に近い岡山県立西大寺高校には、毎年必ず一人は犬島から通う高校生が入学してくるそうですが、あだ名は必ず「犬島」になるそうです。
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岡山城のあるところは、現在烏城(うじょう)公園として整備されています。
市民の憩いの場のはずですが、意外と人は少ないです。
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大手門の虎口を抜けていきます。
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整然とした打ち込みハギの本丸石垣が見えてきます。
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鉄(くろがね)門を通って天守方面へ。
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鉄(くろがね)門跡。
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武者走りと思われます。
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大納戸櫓跡。
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表書院跡。
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不明門(あかずのもん)を通って天守台のある本段へ。
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本段にある六十一雁木門。
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天守閣の礎石跡です。
岡山城の天守は戦災により焼失した際に、同じ場所にコンクリート復元しましたが、礎石については少しずらして保存されています。
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少し歩くと漆黒の天守が見えてきます。
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本当に他では見れない真っ黒な城です。
上品な白色の城も良いですが、黒色というのも海賊の船っぽくてなかなか良いです。
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城内では、宇喜多氏に関する展示がふんだんにあり、直家の下克上から秀家の流罪に至るまでの歴史について十分に学ぶことができます。流罪となった秀家母による少し愚痴っぽい(?)大河ドラマ風ナレーションビデオも見れます。
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城主の間が復元されていて、宇喜多氏・小早川氏・池田市のそれぞれの甲冑が展示されています。
甲冑の着用体験も無料で出来たかと思います。
他では有料であることが多いですし、何より岡山城はそんなに混雑しないので、おススメです。
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最上階からの景色。
日本三大名園として有名な後楽園を見下ろすことができます。
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帰りは廊下門に向かって帰路へ。
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矢狭間、鉄砲狭間も完備されています。
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廊下門です。
こちらもなかなか立派です。
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岡山城の西側、市民会館の駐車場付近に直家が築城した岡山城の本丸跡がひっそりと立っています。
下克上ファンの方はこちらもぜひ訪れてください。
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■あわせて巡りたい

後楽園
 旭川を挟んで岡山城の隣にある、備前藩主の池田氏によって造営された日本三名園として有名な庭園です。
 中に入ると周りの建物が見えず、ちょっとした異空間になっています。
 大都会岡山の喧騒を忘れることのできるおススメスポットです。

麺屋 べんてん 
 岡山城の帰りにラーメン食べるならココです。
 魚介つけ麺ですが、自店で製麺しているこだわりの店です。
 ぜひ替え飯をセットで頼まれることをおススメします。

味の匠 大名庵
 岡山中央卸売市場の海鮮丼屋さん。
 管理人は海鮮丼が大好きですが、全国色々な場所で食べた海鮮丼の中でも
 かなり上位に入ります。しかもコスパ◎です。
 ただし、ランチのみ営業でかなり並ぶので登城前に行くのがおススメ。

■城データ
  • 城名        岡山城(烏城)<日本百名城No.70>
  • 種別        平城
  • 登城日       2018年1月6日(土)
  • 住所        岡山市北区丸の内2-3-1
  • 電話番号      086-225-2096(岡山城事務所)
  • スタンプ設置場所  岡山城天守閣入口
  • 公式HP      岡山観光コンベンション協会HP
  • 入場料       有料(大人300円)
  • 駐車場       有料(天守閣の入場者は駐車料金が150円割引)
  • 所要時間の目安   120分程度
  • 混雑度       小
  • 注意点       特になし
  ※管理人が登城時の情報です。登城の際は必ず公式HPで最新情報をチェックして下さい。

■管理人の勝手な評価

~城として~
  • 難攻不落度     ★★☆☆☆(守りは手薄かも)
  • 歴史に浸れる度   ★★★☆☆(直家の下克上に思いを馳せましょう)
  • 他では見れない度  ★★★★☆(漆黒の城は珍しい)
  • 総合評価      ★★★☆☆
~行楽地として~ 
  • アクセス性     ★★★★☆(岡山市街の中心部にあります)
  • 登城のしやすさ度  ★★★★★(平山城でそんなに広くないです)
  • 分かりやすさ度   ★★★★★(解説・案内豊富にあります)
  • 景観度       ★★★★☆(岡山市街が一望できます)
  • 女性と行ける度   ★★★★☆(後楽園とセットがおススメ)
  • 総合評価      ★★★★☆
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