■概要
戦国時代、武田氏から沼田城攻略を指示された真田氏が天正7年(1579年)、沼田城と利根川を挟んだ対岸の段丘に築いた山城です。
その後、真田氏は沼田城を奪取しますが、沼田城を巡って北条氏との争いは絶えませんでした。
戦国時代の終わりごろ、天下統一目前であった豊臣秀吉は「惣無事令」を出して全国の大名に大名間の争い(私闘)を禁じました。そして、秀吉の裁定により、利根川を境に沼田城を含む東側を北条氏、名胡桃城を含む西側を真田氏とします。
下の地図を見て頂ければお分かりの通り、名胡桃城は北条領との国境スレスレにある、まさに最前線の城でした。
しかし、想定通りというべきか秀吉の裁定に納得しない北条氏は武力で名胡桃城を奪取しますが、これにより北条氏は秀吉に開戦の口実を与えてしまうことになります。
(名胡桃事件)
当然北条氏の武力行動に激怒した秀吉は、22万の大軍を率いて北条の本拠地である小田原城を包囲します。(小田原征伐)
北条氏は5ヶ月の籠城の末に降伏開城し、豊臣氏に最後まで抵抗していた勢力が秀吉の軍門に降ることで、120年間続いた戦国時代は遂に終わりを迎えることになります。(城址案内所で配布されている以下のマンガがとても分かりやすいです)
このように、名胡桃城は、知名度はそれほど高くないものの、戦国時代が終わるきっかけとなったとても
重要な場所です。ちなみに大河ドラマ「真田丸」では、草刈正雄演じる真田昌幸が、秀吉が「沼田城は北条に」と裁定したのに対し、「先祖の墓があるので名胡桃だけは真田領に」と最後まで食い下がった場面が出てきます。
■見どころ
規模はそれほど大きくないものの、深い堀切に囲まれた堅固な山城です。
真田氏得意の「丸馬出し」も見ることが出来ます。
また、搦手側の「ささ郭」では、沼田の町を間近に望むことができ、真田領と北条領が接する最前線であった緊張感を肌で感じることが出来ます。
■写真&散策記
般若郭に車を停めて、丸馬出⇒三郭⇒二郭⇒本郭⇒ささ郭⇒搦手門と回るのが一般的です。
(というかそれしかパターンが無い)
駐車場に車を停めると感じるのが、「城が近い」という事です。
駐車場から堀切を挟んですぐ向こうに二ノ丸にあたる「二郭」が見えます。
山城でここまでアクセス性が良い城は初めてです。
というか、駐車場自体も「般若郭」と呼ばれる曲輪になっています。
まずは情報収集のため、「名胡桃城址案内所」へ。
間違いなく飲食店を居抜きで使っていると思われる建物で、資料などが充実しています。
もちろん続日本百名城スタンプの設置場所もコチラになります。
こんなことも無料で出来ます。
丸馬出しの方面へ。
大坂の桜は散ってますが、こちらはまだまだ桜が綺麗です。
真田家得意の防衛機能である丸馬出へ。
敵が堀に攻めかかったところを、背後に馬を出して城内側からと挟み撃ちにすることのできる施設です。
三郭から見る丸馬出。形がくっきりと分かるように舗装してくれています。
二郭は三郭と比べて広くなっています。
館跡の礎石が見られます。
振り返って二郭北虎口。
奥には櫓も建っていて、侵入する敵に横矢を入れることのできる作りになっています。
もう一つ城址碑です。
こちらは文豪の徳富蘇峰という方の筆によるものだそうです。
こちらがメインの城址碑ぽいです。
ささ郭からは沼田の町を間近に望むことが出来ます。
この地が北条氏との間の最前線となっていたことを肌で感じることが出来ます。
搦手門のあたりです。
現在、搦手門から山を下っていくのは禁止されている模様です。
丸馬出⇒三郭⇒二郭⇒本郭⇒ささ郭⇒搦手門が一直線になったとても分かりやすいお城でした。
山城ですが平坦で散策もしやすく、桜や草花が綺麗なお城でした。
というわけで散策終了!
■公式パンフレット
- 城名 名胡桃城(なぐるみじょう)<続日本百名城No.115>
- 種別 山城
- 登城日 2019年4月22日(月)
- 住所 群馬県利根郡みなかみ町下津3462-2
- 電話番号 0278-62-0793(名胡桃城址案内所)
- スタンプ設置場所 名胡桃城址案内所
- 公式HP みなかみパーフェクトガイド
- 入場料 無料
- 駐車場 無料
- 所要時間の目安 30分程度
- 混雑度 小
- 注意点 特に無し
~城として~
- 難攻不落度 ★★★☆☆(丸馬出や喰違虎口など真田の城)
- 歴史に浸れる度 ★★★★☆(最前線の緊迫感を感じることが出来ます)
- 他では見れない度 ★★☆☆☆(構造的には標準的です)
- 総合評価 ★★★☆☆
- アクセス性 ★★☆☆☆(沼田よりさらに不便な場所です)
- 登城のしやすさ度 ★★★★★(山城にしては破格の巡りやすさ)
- 分かりやすさ度 ★★★★☆(解説や資料も豊富です)
- 景観度 ★★★★☆(整備が行き届いていて草花が綺麗です)
- 女性と行ける度 ★★★☆☆(桜の季節ならアリではないでしょうか)
- 総合評価 ★★★☆☆
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