■概要
歴史作家で有名な故・司馬遼太郎さんの小説「関ヶ原」待望の映画化作品です。
わずか6時間で決着した天下分け目の決戦として日本人なら知らない人はいないのではないでしょうか?
主演の石田三成役には、大河ドラマで黒田官兵衛役を演じたV6の岡田准一、三成のライバル・徳川家康役は三谷幸喜原作の映画「清須会議」で柴田勝家役を演じた役所広司、三成の参謀であり名将・島左近役には大河ドラマ「真田丸」で武田勝頼役を演じた「平岳大」など、豪華キャストとなっています。
なぜ今頃関ヶ原を映画化?という疑問が沸いてきますが、監督の原田眞人さんはずっと昔から「関ヶ原」の映画化に熱意をもっていたらしく、主演の三成役として白羽の矢を立てていた岡田准一が三成を演じるにふさわしい年齢になるまで待っていたとか(ほんまかいな)。
■見どころ
まず、月並みですが、映画館で見るのとテレビで見るのでは迫力が全然違いますので、関ヶ原の戦いのような大合戦の迫力などを体感するには是非映画館での観覧をおススメします。
特に本作品は、NHKの大河ドラマが予算削減で年々CGが多用されたショボいドラマとなり続ける中で、3000名のエキストラと400頭の馬を使って撮影されており、ロケ地についても彦根城(滋賀)、東本願寺(京都)、姫路城(兵庫)などの国宝級の歴史的建造物が惜しみなく使われているという超本格志向の作品であり、戦国の歴史に浸れること間違いなしです。
初芽の出自など、原作には独自の解釈を加えている部分が多々あり、西軍最期のシーンも今までに無い大迫力の演出となっています(具体的には映画をご覧下さい)。
<映画「関ヶ原」本編映像>
個人的に少し残念だったのが、徳川家康が西軍・上杉景勝に上洛を命じた返書として直江兼続がしたためた有名な「直江状」や、関ヶ原の戦いにおいて島左近が鬼神の働きをみせ、後世まで東軍武将のトラウマとして残ったと言われる左近の「かかれー!」のシーンが省略されているなど、関ヶ原の戦い関連のオーソドックスなエピソードが省かれている点です。関ヶ原の戦いについてあまりよく知らないが、映像で全体像を把握したいような方にとっては若干消化不良かもしれません。
事前学習として時間があれば、原作である司馬遼太郎の小説「関ヶ原」を読んでから行かれることをおススメします。司馬遼太郎の「関ヶ原」は、小説なので当然脚色はあるものの、実際の関ヶ原合戦前夜から合戦に至るまでの歴史を忠実になぞっているため、全体像を知りたい方には最適です。
特に関ヶ原の戦いが発生した経緯については、豊臣家臣団の複雑な事情が絡み合っており、それらを理解せずに合戦だけ見ても、面白さが伝わりづらいかと思います。映画でも、武断派と奉行衆の対立や家康が武断派を懐柔していく様子について描かれてはいるものの、いかんせん2時間半しかないので、少し無理があるように思いました。2時間半に詰め込むためなのかは不明ですが、セリフもやや早口になっており、事前知識の無い方には少ししんどいように感じます。
時間が無い方や、「事前学習なんか面倒だし、早く見たい!」という方はコチラのサイトなんかでも合戦に至るまでの経緯が一通り解説されているので、最低限一読して行かれると、映画を見る際の面白さが全然違ってくると思います。
あと、ゲームが好きな方はPS4の「信長の野望 創造withパワーアップキット」をやってみるのもいいかもしれません。このソフトは歴代野望シリーズのなかでも関ヶ原の合戦シナリオに最も力を入れており、戦国伝ムービーや合戦など、関ヶ原の戦いを自ら体感することができます。
歴史に興味の無い女性と行かれる場合は、書籍やサイトなどで自身が学習のうえ、ぜひ事前にレクチャーしてあげましょう。岡田准一の熱烈ファンであればストーリーが分からなくても十分満足されるかと思いますが、それ以外の方だとストーリー展開についていけず、戦国ファンでも無ければストレスが増すばかりでしょう。教えてあげることで、自分の理解も深まるので一石二鳥です。
また、映画観覧後は岐阜県不破郡関ケ原町にある「関ヶ原古戦場跡」を巡って、天下分け目の合戦に思いを馳せましょう。
・司馬遼太郎「関ヶ原」(全3巻)
関ヶ原の合戦前夜から合戦に至るまでの歴史について、「直江状」などの代表的なイベントは歴史に忠実に押さえつつ、読みやすい小説として書かれています。本作品の原作でもあるため、管理人イチオシの事前学習コンテンツです。余談ですが、司馬遼太郎は管理人が在住する東大阪に拠点を置いた小説家です(管理人の自宅から徒歩圏内に司馬遼太郎記念館があります)。
インターネットの解説サイトだとここが一番分かりやすいと思います。
特に合戦に至るまでの複雑な人間模様に重点を置いて書かれているので、「なぜ関ヶ原の戦いが起こったのか?」を手短に知るには一番おススメです。
超有名な歴史シミュレーションゲームですが、本作は歴代シリーズの中でも関ヶ原の戦いシナリオに重点を置いて作られています。ムービーや合戦も充実しており、「自分が関ヶ原の戦いを動かしたい!」という方にはイチオシです。ちなみに映画「関ヶ原」制作委員会にはコーエーテクモゲームスも名を連ねています。
■あわせて巡りたい
■作品データ
- 作品名 関ヶ原
- 監督・脚本 原田眞人
- 原作 司馬遼太郎「関ヶ原」
- 出演者 岡田准一、有村架純、平岳大、役所広司など
- 公式HP 映画「関ヶ原」公式サイト
- 視聴日 2017年9月16日(土)
- 視聴場所 大阪ステーションシティシネマ
- 混雑度 大(ほぼ満席)
~歴史作品として~
- 歴史に浸れる度 ★★★★★(大迫力なのでぜひ映画館での視聴をおすすめします)
- 他では見れない度 ★★★★★(これだけ本格の時代劇はなかなか見れません)
- ストーリー度 ★★★☆☆(もう少し原作に忠実でも良かったかも)
- 総合評価 ★★★★☆
- 分かりやすさ度 ★★☆☆☆(重要な歴史イベントを省略かつ役者が早口気味)
- 面白さ度 ★★☆☆☆(歴史を知っていれば十分楽しめますが・・・)
- 女性と行ける度 ★★★☆☆(V6ファンであれば・・・)
- 総合評価 ★★☆☆☆(戦国ファン以外の方には少し硬派かと)
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