岩櫃城 ~「真田丸」の舞台となった天険の要害

stamp

■概要

南北朝時代のころに築城されたと言われている上州では最大規模を誇る山城です。
城の南西側を標高802mの岩櫃山、南側を吾妻川に下りる急斜面、北側をこの地方独特の岩山に囲まれた天然の要害です。

戦国時代には、上杉家に従う地元の将・斉藤氏が治めておりましたが、永禄6(1563)年、上州への進出を狙う武田信玄は、家臣・真田幸隆に命じて岩櫃城を攻略させ、時の城主であった斉藤憲広は堅城により奮戦するも、幸隆の得意の調略により家臣が内応したこともあり、落城します。その後は、真田家が支配し、上田城砥石城)~岩櫃城~名胡桃城沼田城と横一線に続く真田家の防衛ラインの重要な拠点と位置付けられ、大規模な改修が行われます。

真田幸隆の子・昌幸の時代では、武田家当主・勝頼が、織田・徳川連合軍に攻められ(甲州征伐)、甲府を追われることになる際、昌幸が勝頼に岩櫃城にて再起を図るよう進言したことはとても有名なエピソードです。(勝頼は一旦この進言を受けるも、小山田信茂など旧臣の反対にあって取りやめ、最終的に天目山で自害し、武田家は滅亡します)

その後、真田昌幸は嫡男・信幸に岩櫃城を任せますが、昌幸は関ヶ原の戦いで西軍に付いたことにより九度山へ蟄居となります。東軍についた信幸は、関ヶ原の戦い後、真田本家の当主となりますが、慶長19(1614)年に、江戸幕府の一国一城令により岩櫃城を破却し、以降は麓の原町に陣屋を置いて吾妻郡一帯を治めることとなります。

■見どころ

大河ドラマ「真田丸」のオープニングでも使われている山城です。
大河ドラマのオープニングでは、岩櫃山の山頂から滝が流れ、その上に天守が写っているのですが、実際の岩櫃城は、山頂に本丸はありませんし、天守閣も無いのです。

実はこの映像は、岩櫃山に、日本の滝百選に選ばれている長野県須坂市の「米子大瀑布」と、現存天守が残る岡山県高梁市の山城「備中松山城」を合成して作ったものです。岩山・滝・天守を組み合わせたあまりの絶景ぶりに惹かれて、訪問する人が多く、須坂市からは「滝の上に城はありません」と注意喚起がされているほどです。

<真田丸のオープニング映像>
岩櫃山から流れる滝と天守閣。確かに絶景。
taiga_opening

実際の岩櫃城は、山頂に天守を構える多くの山城と異なり、山の中腹に本丸を含めた曲輪群のある珍しい山城です。岩櫃山の山頂はゴツゴツしていて、とても天守を建てられるような構造では無いため、逆に防御壁として利用したものと思われます。

<岩櫃城公式パンフレットより抜粋>
map

岩櫃城は、大河ドラマ「真田丸」の主人公である真田幸村(信繁)も幼少期を過ごしたと言われています。ぜひ「真田丸」を見て、岩櫃城を訪問し、戦国の歴史に思いを馳せましょう。

■写真&散策記

元ワンゲル部の妻と話し合った結果、岩櫃城の登城だけではもったいないので、背後にある岩櫃山の登山も一緒にやることに。管理人は登山初心者ですが、岩櫃山は岩場が多くて、危険ですが楽しそうです。

岩櫃山の登山コースは複数ありますが、城と山をあわせて楽しむために、平沢登山口から、尾根通りコースで城を経由して登頂し、ゆるやかな沢通りコースで帰ってくることに。

P4220667

少し迷って平沢登山口の駐車場に到着!平日の月曜日ではありますが、なんと先客ゼロです。
P4220657

登山口からテクテクと登っていくと観光案内所が。
こちらで続日本百名城のスタンプをゲットします。
P4220664

さすが大河ドラマで放映された城だけあって、資料やパンフは充実しています。
歴史学者として有名な小和田哲男さんのサイン色紙があります。
P4220661

岩櫃城のジオラマ。山城の構造が手に取るように分かります。
P4220662

いざ登山路へ!
P4220666

分岐路です。左に行くと険しいが短時間の尾根通り、右に行くとゆるやかだが時間の掛かる沢通り。
沢通りは城を通りませんのでご注意を。
P4220668

尾根通りへGO!
P4220669

森林を抜けていきます。
P4220671

ほどなくして最初の曲輪へ。「中城跡」とあります。
三ノ丸の位置づけです。
P4220673

中城跡の脇を、二ノ丸方面へ登っていきます。
DSC_0557

P4220677

二ノ丸へ到着!さらに本丸へ登っていきます。
P4220681

木々の間から曲輪群が見えます。
P4220683

本丸へ登っていきます。
P4220685

本丸へ到着!こちらは竪堀跡です。結構長大で、山城としては大規模なものです。
P4220688

本丸から見下ろす二ノ丸など曲輪群。
P4220689

櫓台の建っていた跡です。
P4220691

本丸跡の城址碑。
昌幸秘密の部屋として有名な「地炉の間」もこのあたりにあったのでしょうか?
ここで真田昌幸が謀を巡らしていたと考えると感無量です。
P4220692

歴史に思いを馳せるのも束の間で、登城は「あれ?これだけ・・?」と叫びそうなぐらいあっけなく終わってしまいます
ここはやはり山頂まで行くしかないですね!
P4220696

一路尾根通りを驀進。
P4220697

本丸跡分岐で四合目になります。まだ先は長い。
P4220698

五合目。ここまでは全然平和です。
P4220699

このあたりから岩櫃山特有の岩山が見えてきます。
P4220706

このあたりから岩山の本性がむき出しになってきます。
もちろん「岩場あり」の方へ。
DSC_0567

天狗岩。
P4220708

岩を登っていきます。
P4220710

岩のすき間を縫っていきます。
道が細くて転落したらヤバそうです。。
DSC_0571

巨石を見上げつつ、どんどん登っていきます。
DSC_0572

「櫃の口」と呼ばれるところ。この辺でもまだ序の口です。
P4220740

P4220743

このあたりからハシゴ場も登場。
DSC_0580

山頂へ。
P4220748

なぜか麓の町「原町」行きの看板。
P4220749

狭い岩の間を抜けていきます。
P4220750

ついに鎖場も登場!
DSC_0581

管理人妻が鎖を伝って登っていきます。
P4220756

上から見たところ、かなりの斜度であることがお分かりかと思います。
DSC_0588

ようやく八合目。
P4220757

八~九合目は、まあ平和です。
P4220761

山頂が見えてきます。
P4220763

最後はかなりヘビーな鎖場。
DSC_0593

ほぼ垂直です。
DSC_0595

山頂まであと一息!
P4220768

上から見たところ。ほぼ真上に上がる感じですね。。
P4220766

やっと登頂!途中かなりヒヤヒヤでしたが、なんとか登って来れました。
DSC_0611

山頂からはかなりの絶景。真田丸オープニングで見る岩櫃山です。
DSC_0616

DSC_0610

沢通りを通って帰路へ。
沢通りは確かにゆるやかで岩場も無いですが、枯れ葉が敷き詰められていて滑りやすく、足場はあまりよくないです。

沢通り沿いの水曲輪。
P4220795

中城から続く竪堀の終点があります。
P4220797

以上で散策終了!
岩櫃山は反対側に抜けると「天狗の架け橋」といったよりスリリングな岩場もあるようです。
次回は反対側の登山もやってみたいところです。

■公式パンフレット

岩櫃なびからダウンロードできます。

■事前学習コンテンツ

・真田丸(NHK大河ドラマ)

武田氏滅亡から大阪夏の陣までの真田信繁(幸村)の半生を描いた作品です。
豊臣氏の繁栄から大坂冬の陣、夏の陣で滅亡に至るまでのプロセスが現代風に描かれていて、時代劇に慣れない方も安心して見ることができます。第一話で昌幸が勝頼を岩櫃城に誘うシーンが描かれています。
岩櫃城へ行く方は必見です!

■城データ
  • 城名        岩櫃城<続日本百名城No.117>
  • 種別        山城
  • 登城日       2019年4月22日(月)
  • 住所        群馬県吾妻郡東吾妻町原町1965-2(平沢登山口観光案内所)
  • 電話番号      0279-26-7088(平沢登山口観光案内所)
  • スタンプ設置場所  平沢登山口観光案内所
  • 公式HP      東吾妻町公式HP
  • 入場料       無料
  • 駐車場       無料
  • 所要時間の目安   30分程度(城のみ)、120分程度(城+登山)
  • 混雑度       小
  • 注意点       登頂の場合は登山に適した服装(長袖+長ズボン+靴)を。
  ※管理人が登城時の情報です。登城の際は必ず公式HPで最新情報をチェックして下さい。

■管理人の勝手な評価

~城として~
  • 難攻不落度     ★★★★☆(天険の要害です)
  • 歴史に浸れる度   ★★★★☆(「真田丸」を見ていきましょう)
  • 他では見れない度  ★★★★☆(中腹に本丸のある珍しい山城)
  • 総合評価      ★★★★☆
~行楽地として~ 
  • アクセス性     ★★☆☆☆(便利な場所とは言えません)
  • 登城のしやすさ度  ★☆☆☆☆(城だけであれば楽勝ですが)
  • 分かりやすさ度   ★★★☆☆(観光案内所の資料が充実)
  • 景観度       ★★★★★(山頂からの景色は格別)
  • 女性と行ける度   ★★★★☆(登山を含めれば怖いですが楽しめるかと)
  • 総合評価      ★★★☆☆
DSC_0554

コメント

タイトルとURLをコピーしました