■概要
日本に2つしかない五芒星形の星形要塞で、もう一つはあの有名な「函館五稜郭」です。
徳川家康の五代前の分家にあたる大給松平家の最後の当主にあたる松平乗謨(のりかた)は、三河国奥殿藩の藩主でしたが、奥殿藩が手狭であることから、幕府による参勤交代制度の緩和を好機として、文久3年(1863年)に分領であった信濃国佐久郡への藩庁移転を名乗り出て許可されます。
<松平乗謨像(Wikipediaより)>
乗謨は西洋の軍学への関心が強く、幕末に向けて緊迫する国内情勢も踏まえて、砲撃戦に対応できる城を築くことを決めます。そして、函館五稜郭完成の3年後の慶応3年(1867年)にようやく完成を迎えますが、規模は五稜郭の約半分に過ぎず、かつ全ての砲台に大砲が設置されていないなど、全ての方面からの攻城に対して放火を浴びせることが出来るという星型要塞の無二の長所を生かせておらず、かつ裏山から城内が一望できるという構造的欠陥を抱えた城となりました。
というのも、乗謨はそもそも実戦の防衛施設としての築城を主眼に置いておらず、あくまで自身の学問的好奇心を満たすために築城したと言われており、いわば「男のロマン」のための築城であったと言えます。しかも築城当時は幕府の崩壊間近であり、幕府老中・陸軍総裁を務めていた乗謨にはもはや築城に集中している余裕はなく、石垣・堀・建物などで未完成の部分が多々あったと言われております。
龍岡城は、結局一度も実戦に使われることは無く、完成からわずか4年後に明治の廃城令により廃城となり、石垣を除いて建物は競売にかけられます。現在は石垣のみが現存していますが、敷地は市立小学校になっています。
<現在の龍岡城敷地>
左側が佐久市立田口小学校、右側が龍岡城御台所(現存)
■見どころ
「五稜郭」が北海道だけでなく、長野県にもあるという事実はほとんど知られていないでしょう。
それだけでも十分興味深いですが、この城が星型であるということは空から見ないと分からないため、普通に散策しているだけでは、その貴重さを感じることができないのが残念なところです。
余談ですが、管理人が訪問したのは4月下旬でしたが桜が満開でとても綺麗でした。
桜と城はとてもマッチしますが、花見シーズンでは混雑で楽しめないので、このような観光客の少ない城でシーズン外しの花見を楽しむのもありかもしれません。
■写真&散策記
龍岡城正門前にある五稜郭であいの館の駐車場に停めて散策スタートです。
続日本百名城のスタンプもこの館で押すことができます。
龍岡城は通常の城より随分狭い堀だったそうです。
近代的な石垣は切込接の布積みです。
城内に入るとまずは右手に田口招魂社と呼ばれる神社があります。
敷地内は完全に小学校です。
休日なので人気はありませんが、普通に散策して良いのか躊躇してしまいます。
唯一の現存建物である「御台所」です。
現存ですが、校庭の反対側に建っていたものが移築されています。
本来堀・石垣があるべき場所でしたが、このあたりは未完成で終わったようです。
あまり攻城した感が得られない場所でしたが、散策を終了して少し車を走らせたところで何とも興味深い場所を発見!
予想通り龍岡城の桝形虎口があった場所のようです。
龍岡城の北の入り口にあたる場所だったとのこと。
最後にとても満足できました。
五稜郭自体もとても興味深い場所でしたが、戦国っぽさが無かったので少し寂しかったところでした。
というわけで無事に散策終了!
余談ですが、佐久市では「佐久市強歩大会」という一風変わったイベントをやってました。
山梨県の韮崎を21時に出発して、佐久市立体育館までの78kmを踏破するというスポーツ(?)イベントです。ちょうど前日に海ノ口に宿泊していたので、海ノ口から佐久までドライブする間中ずっと、沿道で延々と歩く人たちの群れを見ました。風雨にさらされながら、夜の山間部では氷点下まで下がり、日中の平野部では20度まで上がるという過酷なロードだそうですが、なんと8割近い人たちがゴールしているということにビックリです。
■公式パンフレット
- 城名 龍岡城(龍岡城五稜郭)<続日本百名城No.129>
- 種別 平城
- 登城日 2019年4月21日(日)
- 住所 長野県佐久市田口3000-1
- 電話番号 0267-82-2331(佐久市立田口小学校)
- スタンプ設置場所 五稜郭であいの館(大手門前)
- 公式HP 佐久市観光協会公式HP
- 入場料 無料
- 駐車場 無料
- 所要時間の目安 60分程度
- 混雑度 小
- 注意点 特に無し
~城として~
- 難攻不落度 ★★☆☆☆(防御施設としては欠陥が多かったようです)
- 歴史に浸れる度 ★★☆☆☆(幕末なので微妙です)
- 他では見れない度 ★★★★☆(日本で二つしかない五稜郭)
- 総合評価 ★★★☆☆
- アクセス性 ★☆☆☆☆(どの方面から行っても不便です)
- 登城のしやすさ度 ★★★★★(広さもそれほどない平城)
- 分かりやすさ度 ★★★★☆(解説も充実しています)
- 景観度 ★★☆☆☆(桜以外は特に・・・)
- 女性と行ける度 ★★☆☆☆(あり寄りのなしです)
- 総合評価 ★★★☆☆
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