飯盛城 ~初の天下人・三好長慶の本拠地

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■概要

河内国の北半国守護であった畠山義堯(よしたか)が配下の木沢長政に命じて、大阪と奈良との間に走る生駒山系の飯盛山に築いた城です。

横から見ると飯を盛ったような山であることから、「飯盛山」と呼ばれています。

木沢長政は主君である畠山義堯と不和になり、木沢長政が義堯から守護職を奪回するという企てが発覚したことから、義堯は畿内の実力者であった三好元長に頼んで長政の籠る飯盛山城を包囲させます。

長政は、当時堺で暫定幕府(堺幕府)で強大な勢力を誇っていた細川晴元に助けを求め、晴元からの命令により元長は一旦包囲を解除しますが、元長はその後細川晴元のもとを離れて勢力を伸ばしていったことから、飯盛山城は元長・義堯に再び包囲されることとなります。

手に負えなくなった晴元は、一向宗(本願寺)証如に援助を求めます。
証如は「大名に加勢しない」といった先代の遺訓に反して摂津・河内・和泉から3万人の門徒を集めて飯盛山城に総攻撃を仕掛けて義堯を自害に追い込み、元長を討ち取ります。
これにより晴元は、飯盛山城の包囲軍に勝利することとなります。。

しかし、その後木沢長政は、元長の子で後の天下人である三好長慶によって親の仇として討ち取られます。長慶は、その後飯盛山城に入城した交野城主・安見宗房も追い落とし、ついに飯盛山城主となります。そして、その時に飯盛山城に大幅な改修を加え、現在の城郭の姿になります。

長慶は、芥川山城・飯盛山城・高屋城を拠点として畿内を中心とした勢力拡大を図っていこうとしますが、その矢先に43歳という若さで病没します。

その後、跡を継いだ三好長継や三好三人衆が飯盛山城を支配しますが、畿内に侵攻した織田信長によって降伏し、飯盛山城は畠山家に与えられます。しかし、畠山家当主・秋高が、反信長派家臣の遊佐信教の反乱にあって殺害され、これに怒った信長によって飯盛山城は攻め滅ぼされ、廃城となります。

■見どころ

大阪の市街地にほど近い大東市というところにありますが、近畿最大級の山城です。
標高315mの急峻に作られた山城でありながら、城の北側・南側にはそれぞれ大阪と奈良とを結ぶ清滝街道・古堤街道、西側には京都へ至る東高野街道と大阪湾に通じる大和川水運と接続した深野池があり、畿内における交通の超重要拠点をおさえた要塞でした。

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本丸のある山頂に上ると、大阪平野と大阪湾まで見渡すことのできる抜群の眺望を味わうことができます。初の天下人となった三好長慶の畿内支配に思いを馳せていただければと思います。

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<公式パンフレット>
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■写真&散策記

飯盛山城へは、西側山麓の野崎駅から徒歩で登る方法と、阪奈道路の途中を折れて大東市野外活動センター(キャンピイ大東)その更に奥の楠公寺に車を停めて登る方法があります。

野崎駅からの登山は2時間弱という結構長めのハイキングとなりますし、城の内部にある楠公寺まで行ってしまうとほとんど散策を楽しめないので、間をとって大東市野外活動センターに車を停めて向かうことに。

阪奈道路自体が走り屋さんが多数出没する峠道でありますが、大東市野外活動センターへ向かう道はそこからさらに急坂で細い酷道を通っていくことになります。

ちなみに阪奈道路から野外活動センターに向かう途中に、夏の甲子園強豪校の大阪桐蔭高校野球部のグラウンドがあります。こんなところで秘密の特訓をしていたとは・・・

すれ違い困難な細道を抜けてようやく野外活動センターに到着です。

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続日本百名城のスタンプも野外活動センターにあります。
「続百名城のスタンプありますか?」って聞くと、スタッフさんも一瞬動きが止まりますが、「あーあーあれね」といって奥からスタンプを出してくれます。

ちなみに野外活動センターのPは有料、しかも400円と少々お高めです。。
大東市民だと少し安く停められるみたいですが、管理人は残念ながら隣の東大阪市民のため割引は受けられず、正直に400円を払います。

スタッフはパンフレットと地図を渡してくれ、飯盛城への登城ルートも丁寧に教えてくれます。
楠公寺ではこのサービスは無さそうなので、やはり野外活動センターに停められることをおススメします。
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大東市野外活動センター(キャンピイ大東)のアップ。
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掲示板には飯盛山城や三好長慶についての解説が。
スタッフの反応とは裏腹に結構訪問客は多いのかも!?
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ここからは山道に入ります。
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観測史上初の左回り台風(12号)一過だったからか、7月の西日本豪雨の後だからなのか分かりませんが、崩落注意の看板がそこかしこにあります。
ちなみに管理人が訪問したのは台風12号が大阪を通過して広島県あたりにいる頃です。
大丈夫かしら・・・
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楠公寺の案内板が出てきます。
しかし車で楠公寺まで行くのは、オフロード車でもないと少々不安かも。
(やめといて良かった)
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15分ほど歩いて楠公寺に到着します。
ここは飯盛山城の馬場にあたります。
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楠公寺からぐんぐん高度を上げていきます。
台風一過なので木の枝が道に散乱しています。
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途中で分岐にあたります。
飯盛山頂(本丸)へは階段を登っていきます。
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展望台(本郭)に向かって最後に階段を上ります
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本郭に到着!
展望台が設置されています。
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本郭からの景色。
大阪平野を眼下に見下ろします。
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山頂(高櫓郭)にある旧国旗掲揚台の楠木正行の像です。
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横に城址碑があります。
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高櫓郭から堀切と土橋をわたって南側から下りていきます。
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高櫓郭を南から下りるルートは結構な難所です。
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こんな感じで縄を伝って下りていきます。
(管理人妻です)
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途中に貼ってある看板。うーむ。。。
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高櫓郭の東側面を伝って北の曲輪(御体塚郭)方面へ向かうこととします。
曲輪に沿って狭い道をつたっていきます。
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石が木に埋まっています。
石垣のすき間から木が生えてきてこうなったのでしょうか?
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ところどころに貴重な当時の石垣跡が見られます。
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北側にどんどん下っていきます。
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途中で分岐路に出くわします。
右側を行くと御体塚郭方面です。
さらに奥の四条畷神社にはいけない旨の注意が書かれています。
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暗い道を下っていきます。
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御体塚郭です。
ここに三好長慶が死後3年間仮埋葬されていたと伝えられています。
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御体塚郭の石垣です。
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御体塚郭を下りていきます。
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北方防御の要である堀切です。
尾根が切断されています。
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堀切の石垣。
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最北端にある二の丸です。
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二の丸からの景色。寝屋川方面が見えます。
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本郭東側を伝って南側に戻っていきます。
本郭東側尾根筋の石垣群です。
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階段状の石垣になっています。
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さらに南側に戻っていきます。
このあたりにも台風の爪痕が。
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最後の見どころの本郭東側の石垣群です。
飯盛城の中でも多数の石垣が残されています。
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ここも無残にも石垣が崩落しています。
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最後は最南端にある千畳敷です。
現在はFM電波塔の敷地になっています。
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千畳敷から下りていきます。
ここが虎口になっています。
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虎口の石垣。
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ここから南側に山をずーっと下りていくと再び野外活動センターに戻ってこれます。

ちなみに野外活動センターの付近にはスズキオートランドと呼ばれるバイクのオフロードコースがあるので、飯盛城散策中も含め、ずっと暴走族みたいな?エンジン音が響き渡っています。

野外活動センターでキャンプしている人たちは気にならないんかな?

そんなことを気にかけながらも散策終了!

■城データ
  • 城名        飯盛山城(飯盛城)<日本百名城No.160>
  • 種別        山城
  • 登城日       2018年7月29日(日)
  • 住所        大阪府大東市龍間1846<大東市野外活動センター>
  • 電話番号      072-874-5165<大東市野外活動センター>
  • スタンプ設置場所  大東市野外活動センター(キャンピイ大東)、大東市立歴史民俗資料館
              四条畷市立歴史民俗資料館
  • 公式HP      大東市公式HP
  • 入場料       無料
  • 駐車場       有料・400円(大東市民以外)
  • 所要時間の目安   120分程度
  • 混雑度       小
  • 注意点       登山に適した服装(長袖、長ズボン、靴)を!
  ※管理人が登城時の情報です。登城の際は必ず公式HPで最新情報をチェックして下さい。

■管理人の勝手な評価

~城として~
  • 難攻不落度     ★★★★★(攻め落とすのは困難でしょう)
  • 歴史に浸れる度   ★★★★★(初の天下人・三好長慶の本城です)
  • 他では見れない度  ★★★★☆(関西屈指の巨大山城です)
  • 総合評価      ★★★★☆
~行楽地として~ 
  • アクセス性     ★☆☆☆☆(大阪とは思えない)
  • 登城のしやすさ度  ★★☆☆☆(車があれば山城のなかではやさしいかも?)
  • 分かりやすさ度   ★★☆☆☆(事前のパンフ入手必須です)
  • 景観度       ★★★★☆(大阪平野を一望)
  • 女性と行ける度   ★☆☆☆☆(山好きなら・・・)
  • 総合評価      ★★☆☆☆

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