概要
山崎の戦いで羽柴秀吉に敗れた明智光秀が退却し最期の夜を過ごした城として有名です。
(翌日城を脱出した光秀は坂本城へ戻る途中に落ち武者狩りに遭い、絶命します)
光秀の娘・玉(ガラシャ)とガラシャを溺愛したガラシャの夫・細川忠興とが幸せな新婚時代を過ごした城でもあります。
もともとは、応仁の乱の頃から寺院としての勝竜寺が、合戦時は臨時的な砦として使われ、戦国時代になると恒常的に城として使われるようになりました。その後、織田信長が細川藤孝(忠興の父)に命じて、京都の防御拠点として勝竜寺城の正式な普請を命じてこの城が完成します。
江戸時代になって、水はけが悪く実用性に乏しいことから廃城となります。
写真&散策記
勝竜寺城公園の駐車場に車を停めると興味深い看板があります。
「ガラシャおもかげの水」
それ以上のことは書かれていません。水は普通においしいです。

あとで調べると、特にガラシャと直接的なつながりはないのですが、長岡京市が提供している地下水100%の水供給施設とのことで、ほかに阪急電鉄の西山天王山駅には「秀吉(備中)大返し力水」が設置されているようです。
ちなみに長岡京市が非常用備蓄水として1箱3,400円(税込み)で販売しています。
ご興味ある方はどうぞ。

(引用:長岡京市ホームページより)
城門らしきものが見えてきます。

来年、光秀が主人公の大河ドラマ「麒麟がくる」が始まることもあり、盛り上げをがんばっています。

正門です。勝竜寺城では南門虎口にあたります。当時は橋を渡ったところに木戸があって、桝形虎口になっていた模様です。
寒波のあとで最近寒かったので、雪が残っています。

勝竜寺公園は日本の歴史公園百選に選ばれています。
関西で他に選ばれているのは、大阪城公園・奈良公園・東遊園地(神戸)などがあるみたいです。
私も神戸育ちですが、東遊園地が歴史公園だというのは初めて知りました。
ルミナリエをやっていたり、イベントをやっていたり、あとは休日は愛国心にあふれた大人たちが集う場所というイメージが強かったですが・・・

城門をくぐって城内へ。

当時の南門の番所にあたる場所が展示室になっています。
明智家や細川家に関する紹介や出土品の瓦などが展示されています。
残念ながら館内撮影禁止でした。

南門の展示室建物。

展示室の後は園内へ。敷地はそれほど広くないですが、綺麗に整備された日本庭園のようになっています。アベックのデートにもおすすめです。


園内にもガラシャのおもかげ水があります。

園内の中心に細川忠興と光秀の娘・ガラシャ(玉)の新婚時代の像があります。

非常に仲睦まじい夫婦だったということで、政略結婚が当たり前の戦国時代では珍しい事例だったようです。特に忠興のガラシャへの愛情は激しく、ガラシャが他人と会わないように幽閉したり、ガラシャに話しかけた庭師を成敗してしまうなど、少々屈折した愛情になってしまっていたようです。
最終的に、忠興は関ヶ原の戦い前夜に徳川家康とともに上杉征伐に出かけた折に、石田三成が大阪屋敷のガラシャを人質に取ろうとしましたが、忠興は出征前に家臣に対して、何があってもガラシャを人の手に渡さないために、留守中ガラシャの身に不名誉な事態が起こった際は、ガラシャに自害をさせるように家臣に言い残しており、その言いつけ通りに家臣の手にかかって死ぬこととなります。この若くて爽やかな二人の像からは想像できない屈折ぶりです・・・
東側の土塁と多門櫓跡です。城外の敵を攻撃できるよう多数の武具も備えられていたとのことです。

北東隅櫓になります。このあたりから土塁へ上るための石段が発掘されています。

北側のお堀になります。きちんと整備されていて、土塁と堀のコントラストがきれいですね。

北門跡です。本丸の北西隅にあたり、L字型の虎口にすることで城内に敵が容易に侵入できないようになっていました。山崎の合戦に敗れた光秀もここから脱出したといわれています。
ここから脱出した光秀が坂本城に帰ることができずに、落命したと考えると切ないですね。

こちらはお城にとって最重要設備でもある井戸跡です。
ガラシャのおもかげ水も同じ地下水から取っているので、ガラシャのおもかげ水を飲むと、もしかすると光秀・忠興・ガラシャの飲んだ水と同じ水を飲んでいるということかもしれません。

こちらは城の西側(駐車場あたり)にあった沼田丸へ行くための通路跡です。
本丸と沼田丸とは堀と帯曲輪で分断されていましたが、ここから土塁にあがって橋をわたって帯曲輪を経由して沼田丸に行けた模様です。

こちらは本丸と沼田丸の間に南北に細長く作られていた帯曲輪の跡です。
本丸の守りをより強固にするためのクッションとして作られました。

以上で本日の散策は終了です。
小さいながらもきれいに整備されていて、光秀・忠興・ガラシャの戦国の歴史を感じることのできる素晴らしいスポットでした!
最後に、勝竜寺城公園でもらえるパンフレットがこちら。

普通のパンフレットとは別に光秀から娘ガラシャに宛てた手紙が付いています。
たぶん光秀はこんな手紙は出していませんが、面白い趣向だと思います。
写真で写すと材質もそれっぽく見えます。

見どころ
小さいながらもきれいに整備されていて、光秀・忠興・ガラシャの戦国の歴史を感じることのできる貴重な歴史スポット。
あわせて巡りたい
山崎合戦古戦場
恵解山古墳(明智光秀本陣跡)
公式パンフレット



城データ
- 城名 勝竜寺城
- 種別 平城
- 登城日 2019年1月27日(土)
- 住所 〒617-0836 京都府長岡京市勝竜寺13-1
- 電話番号 075-952-1146
- 公式HP 長岡京市HP
- 入場料 無料
- 駐車場 無料
- 所要時間の目安 60分程度
- 混雑度 少
- 注意点 特になし
※管理人が登城時の情報です。登城の際は必ず公式HPで最新情報をチェックして下さい。
管理人の勝手な評価
~城として~
- 難攻不落度 ★★★☆☆(桝形虎口や帯曲輪でしっかりガード)
- 歴史に浸れる度 ★★★★☆(光秀の最期を感じることのできる城です)
- 他では見れない度 ★★★☆☆(展示内容は割と平凡かもしれない)
- 総合評価 ★★★☆☆
~行楽地として~
- アクセス性 ★★★★☆(JRでも行けます)
- 登城のしやすさ度 ★★★★★(こじんまりとした平城)
- 分かりやすさ度 ★★★★★(解説もしっかりしています)
- 景観度 ★★★★☆(きれいな日本庭園という感じ)
- 女性と行ける度 ★★★★★(アベックのデートにもぜひお使いください)
- 総合評価 ★★★★☆
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